容疑者は以前、この女性へのストーカー行為で逮捕されていて、警視庁が詳しいいきさつを調べています。
8日午前3時すぎ、新宿区西新宿にあるタワーマンションの敷地内で、このマンションに住む平澤俊乃さん(25)がナイフで刺されて死亡しました。
警視庁は、川崎市の職業不詳、和久井学容疑者(51)を殺人未遂の疑いで逮捕し、9日、容疑を殺人に切り替えて、検察庁に送りました。
容疑者「前日の夜から待ち伏せしていた」
これまでの調べで、平澤さんは、マンション1階にあるコンビニから出てきた際に襲われたことがわかっていますが、捜査関係者によりますと、容疑者は「前日の夜から待ち伏せしていた」と供述しているということです。
容疑者は平澤さんが以前、上野周辺で経営していたガールズバーの客で、「バーの経営を応援するために出した1000万円以上を返してもらうつもりだった。そのお金は車やバイクを売るなどして工面したものだった」とも供述しているということです。
おととし ストーカー規制法違反の疑いで逮捕
警視庁によりますと、和久井容疑者は、平澤さんにつきまとい行為を繰り返したとして、おととし5月にストーカー規制法違反の疑いで逮捕され、去年6月まで自宅や店に近づかないよう「禁止命令」が出されていましたが、その後、相談や通報はなかったとしています。
警視庁が詳しい動機やいきさつを調べています。
容疑者 バイクと車の売却をSNSで報告か
容疑者のものとみられるSNSには、3年前に愛車のバイクと車を相次いで売却したことを報告する内容が投稿されていました。
令和3年11月には、赤いバイクの写真とともに「16年間大事にしてきたバイクの嫁ぎ先が決まりました。自分の中では最高のバイクでした。今までありがとう。元気でね」などと投稿しています。
その翌月にも、赤い車の写真とともに「20年9か月乗った車を手放しました。今までありがとう。新しいオーナーさんに大事にしてもらうんだよ」などという投稿がありました。
容疑者の父親「『結婚考えている女性がいる』と」
和久井容疑者と同居する父親がNHKの取材に応じました。
父親は被害者の女性とは面識はないということですが、3年前の秋ごろに容疑者が「結婚を考えている女性がいる」と話していたということです。
女性とは韓国の女性アイドルグループの「推し活」で知り合い、その後、女性の経営する店に行くようになったということです。
容疑者は、その女性に趣味だったバイクや自動車を売却して工面したおよそ2000万円を「結婚資金」として渡したとも話していたということです。
その後、お金を返してほしいと女性の店に行くと警察に連絡されて逮捕されたと容疑者は説明していたといい「詳しいことは聞いていないが、お金を渡したあとに女性が冷たくなったと言っていた」と話していました。
容疑者は配送の仕事をしていたということで、事件前日の7日もふだんと変わらない様子で昼ごろに仕事に出かけて行ったということです。
ふだんはおとなしい性格で、直前に変わった様子もなかったということで「いつもの時間に帰ってこないのでおかしいと思った。報道で事件を知り、冗談であってほしいと思った」と話していました。
近所の女性「迷惑かけたりする印象なく驚いた」
容疑者の自宅の近所に住む60代の女性は「家の前でバイクを磨いている姿をよく見かけました。高い車やバイクを持っていましたが、ずいぶん前にそろそろ売るんだと言っていました。周りに迷惑をかけたり、暴力振ったりするような印象はなかったので驚きました」と話していました。
容疑者の自宅近くに住む別の60代の女性は「あいさつをすれば返してくれますが、無口な人だという印象です。数年前まで赤い高級そうなスポーツカーに乗っていて、家の前で磨いていたこともありましたが、ある日突然、車を見なくなったのでどうしたんだろうと思っていました。逮捕されたと知り、驚きました」と話していました。